鳩鳥

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正直香水は苦手だ。
やけに鼻につくし、その場に暫くは匂いが残る
ご飯の時なんかはもう最悪。美味しいご飯の匂いと香水の匂いが混ざるから。
そういえば、何度も苦手だと言ったのに君は香水をずっと付けていたっけ。

なんで今更君のこと思い出したんだろうな。
街中で君がよくつけていた香水の匂いがしたからかな。
君の事もうほとんど忘れてたのにね…
その匂いを嗅いだ瞬間鮮明に君の事を思い出したんだ。
…なるほどね、そういう事か。
何度も香水をつけてくる君に私がなんでそんなに香水をつけてくるの?って聞いた時

「ずっと覚えててほしいから」

なんて返答が来て、その時は訳が分からなかったけど
今やっとわかった。
街中であの香水の匂いがする度に私は君を思い出す。
そうだね人は声から忘れて匂いは最後まで覚えてるって言われてるんだっけ。

ロマンティックって言えばいいのかなんなのか。
君はきっと素敵でしょ?なんて笑ってるのかもしれないけれど私にとってはとんだ呪いでしかない。
こんな呪いにかけられた私の事なんか呪いをかけた君はきっと忘れているのだろう。
匂いすら思い出せないかもしれない。 私香水苦手だったから。

「……香水つけてみようかな」

苦手意識はずっと消えないとは思うけれど
たまには買ってつけてみるのもいいかも知れない。
そのついでに久しぶりに君に連絡をしてみよう。
もし会える日が来るならその時は私は香水をつけていこう。
今度は私が君に呪いをかける番なのだから

8/30/2022, 9:03:53 PM