きつね

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友人と、待ちに待ったご褒美アフタヌーンティーの日。
お気に入りのフリルブラウスに袖を通し、それからロングの花柄スカート。ちょっと背伸びをしたくて買った高めのヒールを履くと、心躍るまま玄関を飛び出した。
いつもの場所で、あなたが待っている。あなたも楽しみだったのだろう、小花の咲くワンピースを身に纏い、きらきらのピアスも相まって、こちらに向けた笑顔が一等素敵に輝いた。
色とりどりの花畑をまっすぐ進むと、小さなガーデンカフェがわたしたちを待っていた。お庭のテーブルに広げられたのは、お菓子の乗ったティースタンドと、可愛らしい模様の入った紅茶のポット、揃いのカップ。
注がれた紅茶から華やかな香りがふわりと広がり、ひとくち飲めばもう虜。まだ温かなスコーンを上下に割って、クロテッドクリームをたっぷり乗せて。さらにさらに、小皿のきらきら美しいジャムで、あの花畑を全部乗せてやるのだ。
ぱくりとひとくち。夢見心地で、あなたとわたし。

ああ、このまま、時を止めて!

11/5/2025, 4:08:58 PM