『いつもの日常』
2人並んでリビングのソファに座る。ご飯もお風呂も終えたので、後は寝るだけだ。
隣にいる彼を見ると本を読んでいる。
「ねぇ」
「ん?どうした?」
本を閉じてこちらに向き直ってくれる彼。彼の顔をまっすぐ見ることができず、立てた両膝に顔を埋めながら口を開く。
「今日本当に何もしなくて良かったの?」
「え?…あぁ、気にしてるのか?」
「気にするよ!だって結婚記念日だよ!?」
そう、今日は私たちの結婚記念日。結婚している友達に聞くと、結婚記念日には豪華なディナーを食べたり、特別な場所に出かけたりしたらしい。なのに今日の私たちは普段と変わらない生活だった。
そのことを伝えると、彼はふっと笑い私の頬を撫でる。彼のまっすぐな目に見つめられ、ドキッと胸が高鳴った。
「俺はそれが良かったんだよ。いつもの時間に起きて、買い物に行って、ご飯を食べて、お風呂に入る。そんな、普段と変わらない生活が良かったんだ」
そう話す彼の顔は優しい。
「結婚記念日だからこそ、この過ごし方が良かったんだ。これからもこんな生活が出来ますようにって。一種の願掛けみたいはものかな」
そっか、と息が漏れた。こんな気を張る必要なかったんだ。安心したら体の力が抜けていく。そのまま彼の肩にもたれかかった。彼も笑って私の肩を抱き寄せる。
「俺と一生一緒に過ごしてくれますか?」
それはプロポーズと同じ言葉だった。今度は彼の瞳をしっかりと見て答える。
「はい、よろこんで」
彼はあの時と同じように嬉しそうに笑ったのを見て、私も同じように笑い返す。いつもより甘い顔をした彼の顔が近づいてくる。私はこの幸せがずっと続きますようにと願いながら、目を閉じた。
【幸せとは】
1/4/2026, 2:46:30 PM