沈む夕日 閉じきれていないランドセルが、パカパカ音をたてて駆け抜けていく。きゃらきゃらと甲高い声が尾を引いて、丘の向こうに消えていく。 明日あした。また明日。 小さな足跡がいくつも重なって、分かれて増えていく。「あれまあ。ひとぉり忘れてら」「いんや。己が離れてやったのさ」 これから先はあやしの時間だ。 夜の帳をじっと眺め、長く伸びた影法師が笑った。
4/7/2023, 11:34:20 AM