カチッカチッ
燈赤色の照明に照らされた店内では、秒針の音が響いている。ブラウンを基調とした壁に多種多様な時計がかけられており、見ていると引き込まれそうになる。
カウンターの内側には、白髪の老人が立っていた。老人といっても、ぴっちりとしたスーツを着て、黒縁のメガネをかけた、執事と言っても違和感のないような人だ。
カランッカランッ
ドアベルの音がなり、老人がお客様をお迎えする。
「いらっしゃいませ、お客様。時計屋『秒針』へようこそ」
老人はそう云うと、ゆっくりと、そして丁寧な所作でお辞儀をした。ニコリと笑みをうかべ、お客様をこちらへ引き連れる。
今日も、この時計屋は開店したようだ。
本日は、どのようなお客様が現れるのだろう。
2/7/2024, 9:43:51 AM