ずっとこのまま
“ラジオネーム、迷える子羊さん。
こんばんは桜楽さん、メール失礼します。
早速なんですが、先日彼氏ができました!
でも一つ分からないことがあるんです。
彼氏からは「これからも一緒に笑い合いましょう。僕と付き合ってください」と言われました。
これって結婚を見据えた告白なのか、そうじゃないのかどっちだと思いますか。
気になって夜しか眠れません!
まずは、おめでとうございまーす!
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ちなみに私はなんかいろいろ例えたりとか、いっぱい言葉を並べて告白するよりかは純粋に付き合ってくださいの一言だけの方が好きです
それは、今という瞬間を大切にしていると感じるからです”
私は毎晩の日課となっている日記を書きながら、そんなラジオを聴いていた
そして私はいつも1人放課後に居残って勉強をする名城くんのことを考えていた
「ねぇ美咲(みさき)、好きな人とかいるの?」
「えっ、いや別に」
「これはいるなぁ〜」
放課後の教室、私は友達の佳奈(かな)と2人談笑していた
「クラス1の美人に好きな人がいないわけないじゃん」
佳奈はそう声高らかに言う
「もういいよそれ」
私はそれを否定する
クラス1の美人と言われて嬉しいが、単純に恐れ多い
「じゃあ私部活行くね」
そう言って、佳奈は教室を出て行ってしまった
教室には私と、ずっと黙々と勉強をしている名城くんとの2人だけとなった
「ねぇ名城くん」
私は名城くんの方を向いて話しかける
「、、、」
名城くんのペンの動きは止まらない
「ねぇ、」
「なんですか」
私がもう一度話しかけようとしたらそれに覆いかぶさるように返ってきた
名城くんはペンを動かすのを止める
「えっと、名城くんは好きな人とかいるの?」
「、、、」
名城くんはペンを持ったまま、正面を見つめて考えている様子
私は聞かないほうが良かったかなと後悔する
それほどに名城くんは思い悩んでいるようだった
そして、やっと口を開いた
「アルキメデス」
「、、、あははははは」
私はその解答に思わず笑ってしまった
名城くんは不思議そうな顔を浮かべている
「ごめんね、ちょっとおかしくて」
「別に、何にも気にしてないんで」
その言葉の通り、名城くんは冷たい顔である
私は落ち着きを取り戻して、さらに聞いてみる
「名城くんにとって勉強することは大切なの?」
「学校という場において、当たり前のことです。学生が1番に明け暮れるものは勉学であるべきなんで」
名城くんは即答した
「そっかぁ。名城くんは今という瞬間、勉強を大切にしてるんだね。」
「はい」
「友達は?」
「それは、今は必要としてないです」
私は純粋に名城くんと仲良くなりたいと思う
友達になりたいと思う
それは私が名城くんのことが好きだから
名城くんはいつも放課後に1人残って勉強をしている
その光景を私はよく目にしていた
1人でなにかに取り組むということは、先が見えない暗闇を歩いているようで大変なことなのだ
その隣に私はいてあげたいと思っていた
私は口を開く
「名城くんにお願いがあるの」
「はい、」
名城くんはこちらをチラと見て私の言葉を待つ
未だにペンを持つ名城くんを見て、私はそれから先の言葉を飲み込んだ
名城くんは今という瞬間、勉強を大切にしている
それは本当に素晴らしいことだと思う
「やっぱり今はいいや」
私はそう口にした
「そうですか」
「じゃあまたね」
そう言い残して、私はカバンを持ち教室を出た
私は名城くんの考えを尊重するべきと考えて、今はこのままでもいいかと思った
この気持ちは閉まっておこう。いつか時効が来る日までは、
1/13/2026, 5:59:11 AM