もちまんじゅう

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最初は新品のキャンバスでした。
何も色を塗っていないのが自慢のキャンバスでした。
ある時、色がないなんてつまらないよと善意で赤色を塗る人がいました。

それは自慢のキャンバスを台無しにされたと感じた瞬間でした。その人にとっては善意でも自分にとっては善意ではなかったのです。

なんとか元のキャンバスに戻そうと白を塗ってみました。
赤と白が混ざり、滲み、もう元には戻せないのだと悟ると憤りと悲しみに包まれました。

しばらく落ち込んでいると、元気を出してと黄色を塗る人が現れました。

赤色を塗った人と同じことをしているのに黄色を塗った人には悪意を感じませんでした。

黄色を塗り重ねてみると橙色が生まれました。
赤、白、黄色が混ざり合いパステルカラーの明るい色になりました。

嬉しくなって顔が綻びました。
それは何も色を塗っていないキャンバスよりも魅力的に思えたからです。
黄色を塗ってくれた人にありがとうと伝えました。
人の善意に触れた時、色を塗るのが怖くなくなりました。

他にも色を足したらどんなキャンバスになるんだろう?
疑問に思い、自分から人に歩み寄って明るい色や暗い色を分けてもらいました。
色を分けてもらう毎に、キャンバスに絵の具を塗りました。

たくさん色を塗り重ねて、出来上がったのは色彩豊かなキャンバスでした。

最初は真っ白が自慢でした。
ですが今では色んな人との思い出が詰まったキャンバスが自慢の宝物となったのでした。

#色とりどり

1/8/2026, 12:21:36 PM