空模様
「はぁ…濡れ鼠…」
ゲリラ豪雨に襲われて、全身ずぶ濡れ。
慌てて建物の屋根の下に逃げたが、ほぼ意味がない
「もう、このまま濡れて帰るか」
バックの中から使っていないビニール袋を出しては、濡れたらヤバい奴らを中に入れては硬く縛る。よし。これで一安心。
「根性、決めるか」
一息ついて雨の中を走ろうとした所、後ろからクラクションが鳴った。振り向き後ろを見ると見知った車だった。車は私の隣に泊まり、運転席の窓が空いた。
「mtd先輩。お疲れ様です」
「お前なぁ…この土砂降りの中家まで走ろうとしただろ」
「まさかぁ〜」
「本当に嘘が下手だよな」
「…それで、先輩は私に何のようですか?」
「は?…見てわかんねぇの?」
「分かりません」
はぁ…と思いため息を吐いては、小馬鹿にした表情をしている。喧嘩売ってます?その顔
「家まで送ってやる」
「結構です」
「……」
そんな顔で睨まないでくださいよ。
「なんで?」
「いや、mtd先輩の車が濡れるので」
「気にしねぇよ」
「私が気にするので」
「乗れ」
「嫌です」
「今ここで簀巻きにして、無理やり乗せるぞ」
「紐なんか持ってないじゃないですか」
「……」
「マジで?」
無言にならないで下さいよ。マジでやられそうで怖いんですが…
「されたくなかったら、さっさと乗れ」
「(警i察)」
「俺が警i察だ」
心の中を読まないで下さい。あまり意味はないのだが、これ以上濡れないようにバックを傘がわりにして助手席まで移動する。
「濡れたからって、文句言わないで下さいよ」
「んな、ケチくせぇ事は言わねぇよ」
「…」
じとっと先輩を睨むと先輩は体を少し捻り後部席から何かを取り出した
「ほら。これで頭と顔を拭けよ」
「タオル」
「今日雨降るって言ってたからな。憂あれば備えなし、だ」
「先輩の口からその言葉が出るとは思わなかったです」
「どういう意味だ。そして、もう仕事も終わってるんだ。名前で呼んだらどうだ?」
「……まだ、帰宅前です」
「けっ、お堅いやつだな。まぁ、家に帰ったら説教な」
「なんでですか」
「一人で家に帰ろうとしたから」
一緒に帰るって言っただろうが。そして、こんな雨の時は俺に連絡しろ。馬鹿と、小言を言いながら車を走らせる。全く家に帰ったらお説教と言ったのに車の中でもお説教とは、顔を拭くふりをして溜め息を吐くと
「テメェ…家に帰ったら覚えておけよ」
「jnpiさん」
「もう、遅え」
甘い声で彼の名前を呼ぶもダメか…
8/19/2024, 12:52:14 PM