《未来》
「強盗だ。金を出せ」
私は銀行で人質を取って金を盗もうとしている。正直、全くこんなことする気がなかった。
だが、家が火事になって一文無しとなった私にはもうこれしか残されていなかった。
ああ…何やってんだろ、私。
「おい、早く持ってこいよ!警察呼んだらコイツ殺すぞ!」
もう自分の気持ちも押し殺さなければならない。生きるためには…こうするしかない。
どこで道を間違えたのだろうか?
…などと考えていたら
「武器を下ろせ!撃つぞ!」
警察がやってきていた。やっぱりか。こうなることは薄々気づいていた。
ならば殺るしかない。さようなら、私の輝かしい未来。
さようなら、儚い命。自分でも驚くぐらいにスムーズに人質の首を切ってしまった。私の未来は…血の色―赤色になった。
とっさに持ってきていた煙幕弾を投げ、逃走した。あの頃想像していた未来とはまた違うものになってしまったなぁ…
6/17/2024, 2:34:53 PM