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結果として勝負には負けてしまったけれど。
目尻を少しだけ赤くし、笑みを浮かべるその横顔はやりきった達成感に溢れているように見えた。

少しだけ、落ち着きたくて。
人気のない通路をなるべく選んで柱の隅に座り込む。
ここは少し埃っぽくて、長居するべきではないのはわかるけれど、ほっと力を抜く。
それでも湧き上がる歓声や床を蹴る音がする。

あの顔に見合うだけの熱意はあっただろうか。
教わったことは十分に発揮出来ただろうか。

緊迫した場面であっても、あの人の声が反芻して、僕の身体を僕以上に動かした。
今も手が痺れている。

あの人はもうここで終わりだけれど。
あの人の想いは、教えは取り零さないように。
『やりたいこと』、やりたかったことを。
繋げられるように。

6/10/2024, 2:55:12 PM