「初めまして!」
誰?
「えっとぉ……何者でもない何か……?」
ここは何処?
「んー……“ここ”ではないどこかかな」
何を言っているのかさっぱり分からない。目の前に広がる無限の白い世界。灯火みたいな光を放って浮かぶ黒い物体。この物体から少年のような声が聞こえる。
何でこんな事に。
「あ!せつめー忘れてた!分かりやすくせつめーすると!現実の君は今死にかけ君な訳だ。んで、僕が君のしょぐーをどうするか考えてる」
処遇……。
「死にたい?生きたい?……って言っても、もうほぼ死んでるから僕と会話出来てるんだけどね」
……まだ、生きたい。
「あー未練ある感じなんだ。そーだなぁ……ここまで死にかけてるってなるとー……」
もう間に合わない?
「前世の記憶持ちとして子供に転生させる事はできるけど……」
それでいい。まだしたい事がある。
「おっけー!んじゃーとばすね。もう“ここ”には来ちゃダメだよ!」
分かった。
「じゃあやり直そー!やり直しちゃおー!もーいっかい、“ここ”からね!!」
自分の中から意識が消える。目を開いた時には顔も知らない男女2人が心配そうに自分を見つめていた。
『ここではないどこか』
6/27/2024, 12:59:47 PM