風花

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『言葉はいらない、ただ…』
私には愛している人がいる。だけど、その人は病気で病院でしか会えない。でも、今はコロナとかで面接はダメってなっているから元気なのかどうかもわからない。でも最近になってから、面接OKになった。嬉しかった。彼に会える。彼の顔が見れる。なかなか会えなかったからとても寂しかった。ワクワクしながら彼に会いに行った。病院につき、彼に会った。彼の顔はとても暗かった。私に会えたのが嬉しくなかったのかな?それとも、気持ちが冷めちゃったのかな?どちらにせよ、いつかはそうなると思うからいいけど…。「久しぶりに会うね。」「うん。」心地が悪い。彼に会えて嬉しいはずなのに…なぜなのだろうか…「○○。」「ん?どうしたの?××。」「俺…あと1年の寿命らしいんだ…」「え?」「昨日…担当の先生から言われた。あと1年の寿命だ。って。」「そんな…あと1年…嫌だよ…××に会えなくなるの嫌だよ…」「俺だって嫌だよ…でも、人間はいつ死ぬかわからないからね。仕方ないよ。」「そうだけど…」「泣くなよ。こっちまで涙が出る。」「ごめん。だって…」「仕方ないだろ。」「・・・。」久しぶりに会ったと思ったらこれか…私はどうしてこうも運がないんだ。神様!私に運をください!私はまだ彼と一緒に居たい…これからどうしよう…「××。外には出られないの?」「先生に聞いてみないとわからない。」「そっか…もし、外に出られたら一緒にお出かけしよ?」「どこまで出られるかわからないけどね。」「もし、病院の敷地内ってなったらその周りを一緒に回ろ?」「そうだな。」「うん。」なんて暗い会話なんだ。もっと明るい会話をしないと。でも、頭が真っ白で何も浮かばない。「今日は…帰るね。また明日。」「うん。また明日。気をつけて。」「うん。ありがとう。」明日…来れるかな…。次の日に来てみた。だけど、病院に入るのを拒んでしまった。そのまま帰ってしまった。そして次の日にも行ったが入れなかった…それが3日間続いた。4日目に行った。入ろう!入らないと!もしかしたら彼は外に出られるかもしれない!よし!そう思って中に入り彼に会いに行った。「おはよう。ごめんね。なかなか行かなくて。」「別にいいよ。久しぶりに会ったのにあんな話をしちゃったから…ごめん…」「大丈夫だよ。」「ありがとう…」
そこから沈黙が1時間もあった。「先生に聞いてみた。外、出てもいいって。だけど病院の敷地内だって。」「そっか。良かったね。」「うん。」「今日は…帰るね…」「うん。」「また、明日。」「うん。」なんで帰る私!まだまだ話したいことあるのに!明日って…明日って言ったけど、勇気が出なくてまた帰っちゃうじゃん…。そんなことを考えながら私は帰った。次の日に行き、外に出た。やはりいつもと同じだ。その日も昨日と同じくらい早い時間に帰った。そして次の日も行き。その次の日も行き。そしてついに明日で余命宣告された1年になる。「明日…だね。」「うん。」「最後かわからないけど最後くらい明るくしようよ。」「うん。」「暗いまま終わるの嫌だよ…」「うん。」「"さよなら"はなしだよ?」「うん。」「・・・。」「○○。今までありがとう。」「そんな言葉はいらない。(ボソッ)」「え?」「そんな言葉はいらない、ただ・・・私は…普通のありがとうがほしい…ううん。ありがとうも要らない。ただ。あなたと居たい。」・・・。そして、次の日になった。私の願いは叶わなかった。彼は亡くなった。

8/29/2023, 11:55:35 AM