ㅤ俺の言葉に、たっぷり二拍の間を空けて茉莉は吹き出した。くそっ、真面目に相談した俺が馬鹿だった。
「いい、やっぱ頼まない」
ㅤ鬼のような後悔に襲われ回れ右をしかけたところで、肩を掴まれる。
「ごめんごめん。好きな子出来たって本当だったんだと思って」
「もういいから、忘れてよ」
「じゃあどうすんの?ㅤ三日後なんでしょ?」
ㅤ部屋を出ようとした足がぴたりと止まってしまう。なんでそんな細かいことまで知ってんだ?
「自分だけ誕プレもらっといてお返しもなしなんてさ、惚れた腫れたの前に人としてどうなんだろうねえ」
ㅤなんで言葉のチョイスが思い切り昭和なんだろう。どうでもいいことが気になる。
ㅤ俺の沈黙を戸惑いだと思ったのか、茉莉がさらにドヤ顔になった。
「あんたがどうしてもって言うなら、付き合ってあげてもいいけど?」
ㅤどうする?ㅤとニヤニヤする顔を俺は睨みつける。こういう方面の相談先が、ひとつ上の姉しか思いつけない我が身が呪わしい。
「どうしても…お願いします…」
「きゃはは、棒読みすぎてウケる!」
ㅤベッドの端に座った茉莉が、脚を派手にバタバタさせる。
「お小遣い足りないだろうし、バリューバーガーセットのアップルパイ付きでいいよ!」
ㅤそう言って、ムカつくほど爽やかに笑った。
『どうしても…』
5/20/2025, 9:02:56 AM