6.朝日の温もり 黒大
朝、窓から差し込んでくる曙色の光に起こされる。過ごしやすくなってきた今日、布団に離して貰えないことは随分減ってきた。ただベットに寝っ転がることが気持ちいいことに変わりはなく、起き上がることが憂鬱であることに変わりは無いが。しかし、今日はいつもとは違う要因で起き上がることができない。というか体を十分に動かすことも出来ない。
黒尾が今晩泊めてくれと押しかけてきたのが昨日の晩のこと。俺もベットで寝たいと潜り込んできたのが夜半のこと。そして俺を抱き枕にして気持ちよさそうに寝ているのが明け方、つまり今だ。下半身は動かせるが上半身はがっちりホールドされていて動かすことができない。そういえば黒尾に、澤村さんは体の大きさと太さ的に抱き心地抜群ですよねなんてことを言われたことがあった気がする。
そろそろ体が痛くなってきたが、これから抜け出すのは叶わない望みなのだろう。ならば仕方ないと抵抗をやめ顔を黒尾の胸元に埋める。そうすれば全身が黒尾に包まれているようで、幸せな気持ちになる。こういうのもたまには悪くないと想っているうちにだんだんと微睡んできた。先の抵抗によって掛け布団はどこかへ行ってしまったが、朝日に照らされた東雲色の腕はとても暖かかった。
6/9/2024, 1:54:19 PM