『先輩へ
突然こんなお手紙を出してごめんなさい。
驚かれたでしょうか?
本日、Ω班への異動が決定しました。
遂に作戦の最前線へ出ることとなったのです。
私は今までずっと、後方支援に徹していました。
物資を運んだり、負傷者の手当てをしたりといったことです。
銃を持って戦ったことなんてありません。
偉い方は私に「お国のために死ね」と言いました。
「何も出来ぬ者は、爆弾を全身に巻き付けて特攻しろ」と言いました。
私はまだ、死にたくありません。
死にたくありません。
何度も逃げることを考えました。
ごめんなさい。
でも、そんな時に先輩の顔が浮かんだのです。
一緒に生きて帰ろう
青い海を見に行こう
緑の草原でピクニックをしよう
笑顔でそう言う先輩が、いつかの未来について話てくれた先輩が、私の背中を押してくれたのです。
ありがとう。
私はもう迷いません。
私は戦います。
あなたのために戦います。
国のために死ぬ気など毛頭ありません。
あなたのために。
あなたの未来のために。
私の命が燃え尽きるまで。
なので、先輩、生きてくださいね
名もなき一般兵より』
全てが終わった夜、微かな蝋燭の灯りで、黄ばんだ手紙を何度も読み返していた。だんだん文字が歪んで読めなくなり、気がつけば涙が手紙を濡らしていた。
何も分かっていないじゃないか。
あなたが生きていなければ、私の幸せな未来なんて永遠に訪れるはずがないのに。
9/14/2024, 2:11:09 PM