崩壊するまで設定足し算

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▶5.夜を越すための「一筋の光」

4.「哀愁を誘う」人間のフリ
3.「鏡の中の自分」 ‪✕‬‪✕‬‪✕‬のモデル
2.「眠りにつく前に」考えること
1.「永遠に」近い時を生きる人形

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‪✕‬‪✕‬‪✕‬は光を瞳から取り込んでエネルギーにするため、
瞳孔は少し大きく、黒目がちに作られている。

晴れた日中は問題ない。
しかし光量の少ない雨の日や夜は、
じりじりと消費していくことになる。


そんな人形は‪今夜も宿屋のおかみから蝋燭を1つ買い上げ、
一日の汚れを落としてから火をつけた。

蝋燭が燃え尽きる頃、街の喧騒も落ち着く。
そうしたら人形も安全に休止形態に移行できるだろう。


部屋の中、暗闇を照らす炎。


ベッドに入り、
姿勢維持の必要がなく炎が見やすい横臥位を取る。

目を見開いた方が光を取り入れやすいが、
人形はエネルギーの残量を確認し、瞼を半分閉じた。
この方が負担は少ない。

閉じた分だけ映像処理用のレンズも塞がれ、
蝋燭の炎は細く見えるようになった。

風は吹いてないはずなのに
ゆらり、ゆらりと揺れる。

(まだ消えないで、ご飯)


階下の騒ぎを耳に入れながら、
‪✕‬‪✕‬‪✕‬は一筋となった光を見つめ続けた。

11/5/2024, 1:51:09 PM