いぐあな

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300字小説

放課後の七不思議

 私の小学校は三階のトイレの鏡と廊下の鏡が合わせ鏡になっていて、五時ちょうどにそれを覗くと自分の将来の姿が見える、という噂があった。
 キッズ携帯の画面が午後五時を告げる。覗くと高校生くらいの私。隣の市の高校の制服を着て、頭一つ分、背の高い男の子と歩いていた。男の子の顔が次第にハッキリしてくる。
「げっ……。なんでアイツなのよ……」

 階段を降りて児童玄関に向かう。夕日の赤い光の中、下駄箱近くにいたのは、さっきの鏡に映っていた幼馴染。帰る私の後を黙って追う。
「何でついてくるのよ」
「暗くなってきたからさ。女の子一人じゃ危ないって母ちゃんが……」
「……ふーん」
 私は顔が熱くなるのを感じながら、そっぽを向いた。

お題「放課後」

10/12/2023, 12:07:08 PM