【無人島に行くならば】
「もし、あなたが無人島へ行くなら、何を__」
テレビから流れてくるアナウンサーの声が静かな午後の空気を震わせた。
窓の外では洗濯物が風に揺れ、カップ麺の湯気が部屋の明かりに溶けてゆく。
ソファに寝転んでいた友人が、ポテチをつまみながら言う。
「俺ベッド持ってくわ。地面で寝るとか絶対ムリ。」
「いや、まず食料やろ。お前絶対3時間でギブやぞ。」
「じゃあお前は?」
「えー、ラジオ。」
お前も食料ちゃうやん!というツッコミに続いて笑い声が2つ重なる。
部屋の隅では扇風機がのんびりと首を振り、ポテチの袋がくしゃりと音を立てた。
「でもさ、まじで行くことになったらどうする?」
友人がポツリと呟く。
「お前がおったらまぁなんとかなるやろ。」
「俺、役立たへんで。」
「やからや。暇つぶしにはなる。」
一瞬の沈黙の後、2人同時に吹き出した。
笑い声が狭い部屋に弾けて、夕方の光が少しだけ柔らかくなる。
___無人島に行くならば、俺はこのくだらない時間を持っていきたい。
しばらくして、またひとつ、どうでもいい話が始まった。
10/23/2025, 2:01:48 PM