【突然の君の訪問。】
風が吹く午後、紅茶を飲みながら庭を眺めていた。
無口なトピアリーと向き合いながら、ソファーの上でクラシックを聴く。
そうしていると灰色の君がやってきた。
「調子はどうだい?」
君の訪問はいつも突然だ。
「もうすぐ雨が降りそうだよ」
雨宿りをしにやってきたのかもしれない。
君と私の間には隔たりがあるけれど、それが心地よかった。
灰色の髪を撫でつける君。
私は冷めはじめた紅茶を啜る。
いつの間にか君が私を見ていた。
不思議な瞳だ。
「何にも縛られない気分を教えておくれよ」
そう声を掛けると君は目を細めた。
8/29/2024, 12:51:41 AM