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私は今、鳥籠の中にいる。
許されたものしか入れない、ひとつの輪に混じって、ヒソヒソと反吐が出るような会話をする。
「あの子、勝君の事好きなんだって。私が狙ってるのに、許せない」
「うわぁ、それは最低」
「有奈の方が似合うよ!」
必死に、一人の女の子を励ます。どんなに不満があっても、それは決して口に発してはいけない。
私はただ、うんうんと同調するだけ。変なことをいえば、この輪から外れてしまう。この小さな鳥籠の中で、ただ1人過ごさなければいけないのは、嫌だった。
笑顔の仮面を被っていると、時折、変な声が聞こえてくる。
『早く、素直になりなよ』
全くなんのことを言っているのかは分からない。
『分かってるでしょ?貴方は、苦しいという感情をずっと抑え込んでる』
そんなわけない。たくさんの友達に囲まれて、とても幸せのはずだ。
『ねぇ、聞こえてるんでしょ? ねぇ!』
私は、聞こえないふりをする。そして、また笑う。そうこうしているうちに、話題が変わっていたみたいだ。
私は必死に隠す。素顔を。

また、声が聞こえてくる。

9/22/2023, 10:07:31 AM