REINA

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狭い部屋



名家の令嬢として生まれた私は、今まで何不自由ない生活を送っていた。
部屋も十二分の広さがあり、それが当たり前だと思っていた。


中学生の頃、初めて片想いをした。
自分とは真逆の世界にいる子だった。

だからこそ、好きになったのかもしれない。
お嬢様と呼ばれて、ちやほやされていた私を、
唯一普通の女子としてみた男の子。

ひょんなことから、その子のお家に招かれた。
彼の部屋はとても狭かった。
普通の家ではそれが当たり前だったと知ったのは、随分後のことだった。

けれど部屋の狭さよりも、彼の端正な顔が、
匂いが、その瞳が、いつもより近いことにドキドキした。

ちょっとでも手を伸ばせば、届いてしまうその腕。
捲られたシャツから覗く強張った筋肉が、
男の子だということを再認識させられた。

お茶でも持ってくると言って下に降りていった。

私だけがいる狭い部屋だけれども、
彼が隣にいるような気がして、
何だか落ち着かなかった。

6/4/2024, 12:11:57 PM