浮遊レイ

Open App

 アラームが部屋中に鳴り響いた。
 起き上がる気力が沸かず、俺は布団に埋もれたままごそごそと手探りでうるさいアラームを止める。
 眠たい細い目をして時計を見た。現在、午前7時すぎである。
「起きなきゃ…けど起きたくねぇー。せめてあと5分だけ…寝てもいいよな。」
 小言でそんなことを呟いた途端、重たい瞼が俺の視界を暗くする。
 ああダメだ!そう言って前、ギリギリまで寝て遅刻しかけたじゃねえか。早く起きねえと…!
 再び失いかけた意識を取り戻し、頑張って体を起こす。
 やった、睡魔に打ち勝った!そう誇りに思い、俺はおもむろに時計を見た。
 時計の短針は7時ではなくなんと”12時“を差していた。
「……えっ?」
 俺はその状況に頭が追い付かず、間抜けな声を上げた。
 窓の外を見ると、真っ青な青空と神々しいで町全体を照らす太陽の姿が見えた。
 俺の部屋は西側にあって、本来なら朝起きてすぐにはこんなにはっきりとは見えないはずだ。
 てことは、つまり………
 呆然とし、身動き一つ取れない俺を嘲笑うかの様に昼に鳴り響くはずの昼鐘がぼんやりと聞こえる。
 あの時、「あと5分」そう言って瞼を閉じたのは覚えている。
 ということはあの数秒の出来事の間でこんなに時間が経っていたのか…?ありえない、こんなことって…
 俺は何も考えることができなかった。
 ただ、「5分」と言って俺は5時間寝ていた、そんな事実を受け入れざる終えないと理解はしたのだった。

題名 5□間後、再び目を覚ます

7/10/2024, 11:41:52 AM