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陰謀というの張り巡らせてこそ価値がある。
コツコツと苛立つ気持ちを抑えられずにデスクをペンで叩く顔には不釣り合いな程の青筋が見える。

ひょんなことから始まった『義妹』としての貴族生活を企てた張本人の『義兄』の端正な顔の眉がこれでもかという程に寄っている姿を横目でこっそり見つめてはひっそりとため息をついた。

『おい。』
ギロリと睨んでくる目をへらりと笑ってかわす。
するとわかりやすく眉間に指を当てて盛大なため息をついてきた。おいおい、そらは当てつけですか?お義兄さま。

『全く、なんでこんなことになった。』
二ヘラと笑った笑顔でどうにかならないものかと願っていてもどうやら可愛い妹の笑顔はこの仏頂面の眉根の皺に効かなさそうだと判断して観念する。

要するにヘマをしたわけだ、私が。

現在、我が国ロストールは内戦の危機が迫っている。
しかもその主犯格として旗頭に立っているのは目の前に立つこの義兄だった。
何十年も前から計画されていたこの謀反は国を牛耳る女狐、エリスを王座から引きずり下ろし腐敗した貴族を一新させるというもので、潔癖に潔癖を重ねたような義兄の神経を張り詰めるような細い細い糸を幾重にも重ねた計画だった。それなのに。

『その無様さはなんだ。』

義兄の指差す先にはギブスを嵌めた足がある。

まぁうっかりしてたのだ。

一応はこれでも義兄の計画の一部とはいえ、貴族の末席に名を連ねている。だがまぁ本籍は冒険者。
冒険者の端くれとして気ままに冒険していればうっかり他国の内戦に巻き込まれもするし、気がつけばどこかの陣営に組み込まれる事もある。それがまさかまさかのエリス様のお膝元で、あれよあれよと人質になった。
武勲を挙げた引き換えに脚をがっつり負傷したのだ。
血相を変えて謁見室に飛び込んできた義兄の顔が面白かった、なんて口にしたら手にしたダブルブレードで簀巻きにされかねない。

みたいなジルオール二次創作の冒頭を考えたんだけど長くなりそうだからpixivでかこうかな。

6/19/2025, 4:06:33 AM