もっと知りたい
窓の外を頬杖を突いて ボーっと眺めて
いると ふと園芸の花壇の花達が
気になった。
みんなそれぞれの区画にネームプレートが
差してあり それぞれ個別の区画に
自分で自由に花を植えているらしい....
(確か園芸委員が率先してやってるんだっけ....)
色とりどりの 花々が咲き誇りとても綺麗だ。
俺は ふわあと欠伸を一つして
ある一画の花壇の区画を見る。
其処には、制服のスカートに気を付けながら しゃがんで 一心不乱に虫眼鏡を
掲げて 向こう側を覗き込んでいる
女の子の姿があった。
その女の子は、嬉しそうに口元を綻ばせながら 花壇の花の葉っぱを 虫眼鏡で
一枚 一枚 探る様に凝視していた。
放課後なので もしかしたら部活動の一環か 園芸委員の一人なのかもしれない
特に気にしなければ 只の 日常の風景と
して溶け込み スルーするのだが....
俺は 何の気なしにその花壇に行ってみた
すると女の子は、目を離した隙にどこから
持って来たのか 虫かごを小脇に抱え
ピンセットを取り出し 葉っぱに付いてた
虫をピンセットで摘まみ始めた。
それを ひょいと摘まみ虫かごの中に入れて行く
こちらから見る限り どうやらそれは芋虫みたいだ。
そうして俺は、もしかして 虫を取り除いているのではと思い始める。
俺は植物や草花に関して無知だが
何かの本で花の成長を妨げない様に
花を作っている所では 葉っぱに
付いた虫を取り除く作業をするのが
一般的だとか何とか 書いてあった様な
気が この行動は、それかもしれない
(この子は 園芸委員なのかなあ....)
じゃあ別段 気にする必要は
全然なかった訳だが 何となくで来て
しまった手前 踵を返そうにもぎこちなく
なってしまい 変な動きになってしまい
何となく背中に汗が流れて来て
不自然になるけど帰ろうかと思い始めて
いた時.... その女の子の声が聞こえた。
「じゃあ ジャン アレキサンダー
ピヨドル アン その他 エトセトラ
全員 居るね!」
女の子は、虫かごの中を覗くと
満足そうな笑みを浮かべて立ち上がった。
ん ? 俺は聞き慣れ無い 外国人っぽい
名前に 思わず 大きな音を立てて
振り返ってしまう....
その音に反応して女の子は、俺の方を見た
俺は気付かれてしまった事で動きが
止まった。
俺に気づいた女の子は、「こんにちわ!」と声を掛けて来た。
俺は、何となくどもりながら
一番女の子に聞きたかった事を
思わず聞いてしまう....
「あの....何やってるの?」と俺は
質問してしまう。
女の子は、にっこり笑って
「えーとねペットの散歩」
女の子は、あっけらかんと答える。
「ペ ペットってその芋虫!」
「うん!」と女の子は明るく答える。
それから俺はその女の子と沢山の話を
した。
話を聞くとまだ家にも たくさんのペットが居るらしい その 種類は、
ミミズ ムカデ ナメクジ ゲジゲジ
カタツムリ はたまたヘビなど
どうやらこの女の子は 手足が無い
または 這って地面を移動する生き物に
心惹かれる性分らしく そう言う種類の
生き物を家で沢山 飼っているらしい......
そしてたまにこうして芋虫達を葉っぱの
上で日光浴させるらしい
虫眼鏡で葉っぱを観察してたのは
芋虫達が誤って葉っぱを食べない様に
監視する為らしい....
行動の理由は分かったが俺から見て
この子はかなり変だった。
しかし俺は何だか笑いが込み上げて来て
同時にこの子何だか面白いと思ってしまった。
そしてこの子の事をもっと知りたいと欲も
出て来てしまい....
気付けば自分から....
「ねぇ良かったら俺と友達にならない?」と 口走っていた。....。
3/13/2024, 8:05:29 AM