しろ

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「静かな夜明け」

その日、彼女は眠れず結局起きたまま過ごしていた。

家族が寝静まっていて、起きているのは彼女ただ一人。

ぼんやりと空が明るくなってくる様を眺めていた。

元々はよく眠るほうなので、眠れない日は少し特別である。

映画を見て過ごしたり、片付けをしたり、色々な過ごし方があるが、その日の彼女は特に何をするでもなく夜明けを待っていた。

彼女にはもう何かをしたいという思いが湧いてこなかった。

ただ、夜明けを待つ。
朝が来たら、家族のために必要なものを用意して見送る。

ただ、それだけ。

毎日が同じことの繰り返し。

でも、その同じ事ができる日とできない日がある彼女にとっては、
普通に過ごせる事が幸せなのである。

何日もベッドから起き上がれず、お風呂にすら入れず、身支度もできないそんな日もあるからだ。

普通に生活を送る。これができるだけで、彼女は充分なのだ。

調子がいい日が続くと、つい忘れてしまいそうになるが、
朝起きて、家族のために支度をし、3食食べて、お風呂に入り、眠る。

この日常を彼女は感謝している。

2/6/2025, 11:57:55 AM