イオリ

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美しい

 暗雲のなんと厚いことか。朝も夕も、不誠実の報せばかり。悪党が、善人を騙し、殺し、奪う。白昼堂々とだ。人ならざるものが、平然と街を闊歩する。こんなことが許されるのか。

 されど頼りの司法機関も、権力に法外におもねる毎日。小さき市民の叫泣は、虫の羽音の如し。

 ならば我がと、勇ましく起つ者稀にあれど、派閥の波に飲み込まれ、瞬く間に一抹の泡と化す。やれやれここにも光あらず。

 しからば金は如何なるか。いやいやこれこそさにあらず。金は天下の回りもの。我が宿は所詮、一晩の足休め。


 世の中をサラリと口にしてみたが、雲間の光ありやなしや。かてて加えて、暗雲の言、欠片も尽きぬ。例えば……。

 
 ……と、長々と不安ばかりを書き連ねる日々。私だけであろうか。




 













2024年 冬 
 ツェルマット村の山小屋から名峰マッターホルンの輝く雪を見ながら記す

 

1/16/2024, 2:38:52 PM