あの日、心の奥深く眠っていた僕を、呼び覚ましてくれ
たのも君だった。
いつも優しく笑って話を聞いてくれた君。流れる黒髪が
綺麗だった。
こんな僕を好きになってくれた人。
永遠に一緒にいれると思っていた。
だけど神様は、ずっと怠けていた僕に大きな幸せを与え
たくなかったのか、神様は君を奪ってしまった。
そしてきっと神様は君を好きになってしまったんだろ
う。君が寿命で死ぬのを待てなかったんだね。
君がこの世からいなくなってしまったとき、僕は泣い
た。君が開いてくれた世界は君の存在ありきだった。
まさしく僕にとっては世界の終わりだった。
それでね、恥ずかしい話なんだけど葬儀や手続きで、
忙しくてずっと君の死から立ち直れていなかったんだ。
ずっとずっと君を恋しく思っていた。
何もしてあげられなかった自分を責めたりもした。
君は僕といて本当に幸せだったのかな。
だけど今日初めて君のお墓に来て気付いたよ。
お墓の周りにはクチナシが咲いていた。
君が好きだった白いかわいい花。クチナシが咲き誇って
いる様子は眼を見張るほどだった。白くて眩しい花達。
君が教えてくれた花言葉は、たしか「私は幸せ者」。
それに気付いたとき、僕は持ってきたキンセンカを
落としてしまった。
クチナシは君が咲かせてくれたのかな。
そうだったら君は僕といて幸せだったと思ってたかな。
でもね、たとえクチナシが君と関係なく咲いていた
としても、世界はこんなにも美しいって分かったから。
また立ち直れる。
君のお墓に来なかったらずっと悩んでいたままだった。
僕の闇に射し込んだ光。優しい君。
これで僕は再び始めれる。
参っちゃうなあ。また君のお陰だ。
やっぱり、始まりはいつも君からだね。
ありがとう
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「優しい君」
始まりはいつも
10/21/2023, 9:56:36 AM