『月に願いを』
月に、願いを。
月に願いを告げ始めて、どれくらい経っただろう。
1秒だろうか、1分だろうか、1時間だろうか、1日だろうか、それとも……1年か。
どれだけ願いを込めたかわからない。
けれど、私は月に願う。
意味はあるの?
わからない。
それで答えが見つかるの?
わからない。
君が本当に願うことは無いの?
……わからない。
全て、わからないことだらけ。
でも、それでいいの。
私は、それで。
だって、願いを込めるのは、あの子の代わりだから。
「ん? ああ、これな、オレの願いか叶うよう月に願ってるんだ、お前もやってみないか?」
あの子の、太陽のようなあの子の代わりなんだ。
月に願って、本当に叶うと信じているあの子の。
だから、私の願いなんてない。
願っちゃいけない。
私は、月に願って叶うと思うことなんてできないから。
ああ、でも、そうだね。
もしも私がひとつ、月に願うのなら___
「月が綺麗だな!」
あの太陽みたいに光り輝いたあの子の笑顔を、また見たいな。
5/26/2023, 11:15:51 AM