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快晴

ひこうき雲
    
      荒井由実

白い坂道が空まで続いていた
ゆらゆらかげろうが あの子を包む
誰も気づかず ただひとり
あの子は昇っていく
何もおそれない そして舞い上がる

空に憧れて
空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲

高いあの窓で あの子は死ぬ前も
空を見ていたの 今はわからない
あまりにも若すぎたと ただ思うだけ
けれど しあわせ

空に憧れて
空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲…。


今日は、快晴で桜がひらひら舞い落ちて
桜の季節も通り過ぎようとしていました。

夫と二人あなた達のお墓参りにゆきました。
少し早い、白いカーネーションの花束を抱いて。

こうして、私がいることを、あなた達は見ていてくれていますか?

あまりにも早すぎて
あなた達に会わせられなかった、彼と彼が夫になって、私が夫と作った私の家族。

きっと、見ていてくれていると信じています。

快晴の空に掛かる、あのひこうき雲に乗って
あなた達は、私たちを桜の花びらで迎えてくれたでしょう。

知ってるよ、わたし。

あなた達の命を乗せたひこうきは、何時だって、わたしの空を旋回しやがてやがて迎えに来ると。

その日を、わたしは楽しみに待っています。

今じゃないね、いつかきっと。

それは、わたしが決めることじゃない。

わたしは、その日、夫とわたしが夫とつくった家族に「ありがとう」と言って あなた達の迎えのひこうきに乗って、きっときっとひこうき雲になるわ。

その日まで、もう少し頑張ります。

見ていてね、そして必ず迎えに来てね。

お父さん、お母さん。

そして、いつかは、わたしもひこうき雲になって、誰かを迎えにゆけますように。

そうなれる道を
本日快晴。

2024年4月13日

心幸



              


 

4/13/2024, 1:46:38 PM