神様が舞い降りてきて、こう言った。
「これが破滅の運命を回避した結果だ。満足したかね?」
どうして。
どうして!?
「わたくしは幸せになりたかっただけなのに!!」
破滅に至る道筋を、トラウマとなる過去の出来事を、可能な限り回避しようと努めただけだった。
けれど、その結果……平民であるヒロインは、攻略(すくい)の道を閉ざされていた。
「君は幸せになっただろう」
「どこがですの?!」
わたくしという悪役が消え、攻略対象に会うことなく、階級社会に『正しく』歪められたヒロインは。
悪魔に憑かれて史上最悪の魔王となり、国の全てを瓦礫と変えた。
改心させる聖女(ヒロイン)が消えた以上、あの子をわたくし達の手で、滅ぼすしかなかった……
「わたくしは、わたくし達は、幸せな未来を望んで動いてきたのです! それなのに、」
「君の運命(やくわり)は『彼女の敵』だ。この世界にある限り、神であろうとそれを違えることはできない」
君が『悪役令嬢』となり破滅することが、一番平和なハッピーエンドなんだよね。
何度も言っているけれど、何度も忘れるんだから仕方がない。
「さて、コンテニューはやるのかい」
「当然ですわ!」
7/28/2023, 10:26:45 AM