善悪……
ウソは悪だろうか?
私がまだ10代の頃の話だ。
アクセサリーを母と見ていたら
店員がねちっこく勧めてきた。
「娘が気に入ったなら買いますから」と母が言い
店員は一気に私を攻略し始めた。
母は店員の後ろに立ち、私を見ていた。
ペラペラよくしゃべる店員の後ろで
母は目をパチパチしたり口をパクパクして
何やら私に合図を送っていた。
店員の言葉よりも
母が何を言いたいのか わからず ただ困惑していた。
私がどんな返事をすれば母は気に入るのだろう?
もう少しわかりやすい合図をしてくれたらいいのに。
やがて
母の素振りが「買え」を意味すると判断した私が
首を縦に振ったとき
見上げた母の顔は 般若のようだった。
帰り道、母はめちゃくちゃ怒って私に言った。
「上手にウソをつく練習をしなさい」
私はウソをつく練習をした。
ウソをつくと体力の消耗が激しい。
ひとつのウソは次のウソを呼び
つじつまを合わせるにはまた別のウソが要る。
……たいへんだ…。
そして悟った。
ウソとは 頭のいい人に許された娯楽なのだ……
4/26/2026, 1:25:00 PM