思わず目を瞑ってしまうような
白と青に埋め尽くされた眩しい世界を眺める
その場所がどこでいつ行ったのか覚えてはいない
ただ目を指すような青い空を覚えていた
心の奥で思い出すその情景は
ネットや本で見る写真よりも鮮明で印象的で
いつの日か探しに行こうといつも思っていた
でもその思いは叶わず社会という現実が立ち塞がって
いつしかその情景も忘れ去ってしまった
会社の出張で飛行機に乗り青空と雲を見る事もあって
最初こそ「いつかあの景色が」って考えていたけど
幾度も繰り返すうちにそんな心は乾いて
仕事の疲れを癒すため窓を覗くこともやめてしまった
気がつけば出張は終わり会社に戻って仕事をして休んでを
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
終わることなく繰り返す
一瞬の気の迷いなのか何かが壊れたのか
気がつけば摩天楼の頂上で
下を向き前に歩く
一歩、一歩進む度に今までの人生を思い出す
あと数歩と言うところでふと
今まで忘れてしまった情景が鮮明に思い浮かぶ
何故今なのか、本能が引き留めているのか
だが考えてるうちにも身体は勝手に動いていく
あと一歩そう思い前を向く
そこには幼い頃思い描いた白と青で埋め尽くされた世界が広がっていた
いつか見たいと思っていたその景色が眼前に広がる
夢にまで見た青の景色
「ああそうか、この景色夢で見たんだ」
その景色は徐々に遠ざかり灰色の額縁に飾られた
5/3/2025, 11:05:09 AM