普通イカの高校生

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『1つだけ』

紅茶茶碗に淹れられた液体の色を眺めては、慣れない香りが鼻を擽る。
上質な茶葉が引き出すその香りは、余韻が長い。

きらきらとした陽が差す席で、
ひとり 知らない世界を愉しもうとしている。

口元に添えられた紅茶茶碗の底には、細かな茶葉が沈んでいる。
少し傾け流れるダージリンティーは、透き通った琥珀色に輝く。
知らない味を、知らない香りを身体が感じるとともに、舌に残る少しの苦味に戸惑いを覚える。

卓上の隅に置かれた角砂糖の匣を開け、
1つだけ、
陽が反射する水面に落とす。

甘美な香りが漂う昼下がり。
静やかな店内で、焼菓子とともに
微かな甘さを口にする。

4/3/2026, 10:09:09 PM