そうだ、友人に手紙を出そう──。
思い立ったが吉日とばかりに、お気に入りの金木犀の柄が書かれた便箋を取り出し、お気に入りのペンを持つ。
さて、書き出し文はどうしようか…。
悩んでいると開け放たれた窓から、金木犀の香りがしてきた。
ふむ、やはりここは、この文からかな…?
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金木犀の香りが漂う今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか?
最近は晴れたり曇ったり、雨がぱらついたり。
お天気が定まりませんね。
体調などは崩されていませんか?
最近の私は、秋空のどこまでも続く青い空が見たいなぁと、空に向かって思う日々を過ごしております。
なにせこの季節、快晴になれば夕方から夜にかけて、黄金の夕日とブルーモーメントのショーが見られるではありませんか。
自然が織りなすあの絶景のショーを観る度に、
「あぁ、この世界はなんて美しいのだろう」と世界の美しさを再認識し、「命あることの喜びは日々の中にあるのだな」と、私は思ってしまうのです。
ふふふ、黄金の夕日とブルーモーメントの絶景推しになってしまいましたね。勿論、秋晴れのあの澄んだ青空も美しく喜ばしいものです。
是非お時間が少しある時は、どこまでも続く青い空に思いを馳せていただき──
もし、お時間がありましたら、夕方の空も眺めていただければ幸いです。
どちらも美しい景色故に、心洗われる事請け合いですよ。
それに、きっと──その空を私も観ています。
お互い遠く離れた地にいますが、空は繋がっているでしょう?
どこまでも続く青い空、または、黄金の夕日を通して──お互いの存在を確かめるというのも、乙なものではありませんか。
酔狂な者と知り合ってしまったものだと呆れましたね?
そんな酔狂者と出会っていただき幸甚の至りです。
これから季節は巡り紅葉も色づいていくでしょうか。
彩り豊かな色彩の秋は、これからが本番ですね。
今度、よろしければ一緒にお出かけしましょう。
あなたに会える日を楽しみにしています。
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ここまで一息に書き終えると、書いたものをしげしげと眺め──空を眺める友人の姿を想像する。
同じ空の下、離れた地から同じものを共有する。
離れていても一人ではないそれは──なんと心強く、喜ばしいことだろうか。
胸に広がっていく穏やかな気持ちに、私は笑みをこぼすのだった。
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どこまでも続く青い空
10/23/2024, 1:49:23 PM