「なんなのよ、ここは…」
私は森に迷って彷徨っていたはずだった。なのに気づいたら開けた場所に出ていた。
そこでは祭が開かれていた。
呆気に取られている私に声をかける人がいた。
「さては君、『迷い人』だね?ここでは君みたいな人がわんさかいるよ。その内お家へ帰してあげるから今はここで楽しんでいったら?」
突然の誘い。危険な気配を感じ、断り踵を返そうとしたところ、
「多分君一人では帰れないよ」
―――私は恐怖を感じた。ここを離れることは得策ではない。とりあえず従うしかないようだ。
「じゃあ、ここで少し楽しませてもらえませんかね…?」
「もちろん、さあ、『永い夜』の始まりだよ、ふふっ」
私は普通に楽しんでいた。この『永い夜』を。ああ、1000年先もこのままがいい。
いやもっと先もこのままで――
―――その後とある森で女性の遺体が発見されたという報道があった。
テーマ:1000年先も
2/3/2023, 10:53:34 AM