昏い色をしている。
二年ぶりの再会は胸踊るようなものでも、切なさが込み上げるようなものでもなかった。
真夜中の闇を思わせる昏い青。
記憶の中にある彼は、そんな色の服を纏ってはいなかった。
彼が一歩、近付いてくる。
「久しぶり」と言うべきか。「会いたかったよ」と両腕を広げるべきか。「元気そうじゃねえか」と笑ってやるべきか。
結局そのどれも出来なくて、触れられそうなほど近くにある彼の目を、じっと見つめる。
夜だというのにサングラスをかけている彼の、表情は読めない。
「服の趣味、変わったんだねぇ」
ようやく出てきた言葉は余りに間が抜けていて、プッと小さく彼が噴き出す。
「アンタは相変わらずキマってんね」
二年の月日は、色々なものを変えたけれど。
「そうだろぉ?」
互いの唇に浮いた笑みが、変わらないものも確かにあるのだと伝えていた。
END
「Midnight Blue」
8/22/2025, 4:58:32 PM