鼻腔に澄んだ空気を含み佇む
都落ち幾千年の時代の荒波が
荒んだ世界を太古の姿に戻す
たった独りの人間である私が居る
炎を纏う虎、凍てつく梢、風となるガゼル
彼らは明日を憂うことはなく、今を生きる
私は感情を賜うた訳がわからない
他人と話すことは何年先にあるか
心は純白の氷みたく凝固したから
私が朽ち果て幾光年の先にはなにがある
金木犀の香りが忘れられない
貴方の存在を確かめる匂いだった
人類の足跡を探しつつ
私は祠の中で慎ましく眠る
生命の炎環をこの手に包んで…
『想見』
11/16/2024, 10:40:26 AM