椿灯夏

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お題《ただひとりの君へ》


春風に誘われて美術館へ足を運んだ

理由なんてない

興味もない


それでも一目惚れしたんだ

足を止めた

まるで足が運命を知るように


真っ白なアンティークのドレスを纏い

桜色の唇に花笑み

椅子に腰かける美しい人

僕はこの絵画を知らない


それでも足は先を見る


遠い過去の異国の人が描いた絵画

僕はその時代に想いを飛ばす



もしこの時代で出会えたなら

美しい言の葉で綴った手紙を渡すだろう



まだ見知らぬ君へ

名もなき絵画の君へ


1/19/2025, 2:33:13 PM