恋人との別れを引き摺っていたある日、道端で出会った猫に道を尋ねられた。道なら猫のほうが詳しそうだけれど、散歩をしていたら迷ってしまったらしい。ちょうどわたしが向かう方向と同じだったので、ついておいでと猫といっしょに歩き出した。途中で猫は立ち止まった。視線の先に別の猫がいる。あの子に会いたかった、と猫は言った。あの子に案内してもらいな。猫はお辞儀をしてそちらへ向かった。わたしはまたひとりで歩き出した。
10/3/2022, 10:46:56 PM