ところてん

Open App

私は昔、友人を亡くした。
交通事故で目の前で亡くなった。
今でも鮮明に覚えている。

「学校疲れた…」
たまに思い出して気分が沈むことはよくあることだ。もうあまり気にしていない。

下校する生徒がたくさんいる。バスで帰る人や駅まで行く人。自転車の人だって…

「!?」
道路へ飛び出した自転車は車にぶつかりそうだ。

「危ない!」
体当たりをし、直で当たらないようにずらした。自転車と少し細身の男性が横たわっている。
周りがザワついている。
「いってえ……あんた、大丈夫か!?」
「私は大丈夫です!立てますか?」
「…手を貸してくれ…体中が痛いんだ」

手と手が触れる。細身だけど手からは男性らしさを感じた。
「あの、病院とか…お金もできれば」
「あ〜?いいよいいよ!命の恩人に金は要求しないしねー!マジでありがとう!」

彼は自転車で颯爽とかけていった。さっきのざわめきはなぜか止まりいつも通りの日常に戻っていた。




「くるしい…なんで…」
最近体調を崩すことが増えた。毎日「消えたい、死にたい」という程。今も保健室で1人悲しみに暮れている。
涙が止まらない。突然、
私は1つの思想に留まった。
「この世から消えてしまえばもう苦しくないんだ」と。

階段を上り、屋上を目指す。
重い足取りをとりながら。
授業をサボっている生徒が何人か廊下に座っていた。なんだか見覚えのある顔があって、なんてことをしているのだ?と思った
私も人の事いえないけれど。

風が私の体を通っていく。
靴を脱ぐ。柵を超える。
綺麗な景色だ。
足を空中へ晒した瞬間、
「やめろ!!!!!」
手を掴まれた。
「…あなた、あの時の」
「お前には借りがある!俺の命を救ってくれた!」
「でも私、消えたいんだ」
「…ダメだ…。そうやって昔、俺は友達をなくしたんだ!あの時は!救えなかった!落ちていくあいつを…見ていることしか出来なかった」
気づいたら、私は涙を零し続けていた。

「お前には!生きていて欲しい!」
そう言われた瞬間、体が持ち上げられる。

床に倒れた私は、立てなかった。もし死んでいたら、永遠とこの人は泣いていたのだろう。そう考えて。

「生きていてよかった…!」

泣いている。彼の顔はぐしゃぐしゃだ。

「…立てるか?一緒に保健室に行こう」

手を伸ばされる。
少し恥ずかしかったが、心地よかった。


私達は手を取り合って、生きていた。これからも、2人――――――――

手をとりあって。

7/14/2023, 3:53:09 PM