陽月 火鎌

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生まれて初めて見たのが、君だった。
おれが生まれてる最中に、男に連れ去られて、怖がって泣いていた。
だからおれは、時間がかかったけど、君を助けたのに……今度は、おれの後ろをついて回る奴がジャマをして、妙な女二人が君を連れ去ってしまった。

おれはただ、あの子の笑顔を、おれだけに見せてほしいだけなのに。


◇◆◇◆◇

「………は?」

ふと目に入った開きっぱなしのノート。そこに書かれた文字を意識したとき、ここ最近で一番低い声を出した自信があるくらい、低い声が出た。

『ど、どしたん?師匠の部屋になんかあったの?突然ひっくい声出して…惚れるが?』
「あぁ、すまんな。視界に入った代物に嫌悪感が出てな……既に惚れてるのでは?ま、俺相手だったら、いくらでも惚れていいが」
『……〜っ////』

電話先と会話をしながらノートを閉じる。

”誰かの思いが一部綴られたノート”

表紙にそう書かれていた。
ムカつく。最後の言葉に同意したいとこが腹立つ……同族嫌悪、じゃないな。俺とアレは違うからな。

⸺俺は、全部、全部、全部、鳥かごの中に入れて、鳥かごの中からちょっとした脱走を計画し実行する様を監視し続けることを、生き甲斐にしているだけだ。アレとは違う。

【これが…嫉妬であり、独占欲?】

1/19/2025, 12:39:25 PM