お題:誰よりも
『特攻隊長』
いつからだろう。
私には隊長というあだ名が付けられていた。
「隊長ってさ、いざとなったら絶対身体張ってみんなのこと守りそうだよね」
「分かる!アルマゲドンのブルース・ウィリスみたいなやつ。仲間の身代わりになって、お前は生きろとか言いそう」
同じ高校に通うクラスメート達は、私の顔を見る度にそんなことを言う。
確かに私は人よりも正義感が強いかもしれない。
いじめられている友達をかばったこともある。
けれど、なんだかモヤモヤする。
私は果たして、いつでも皆が思うような私なのだろうか。
それでも皆は言う。
「隊長って、誰よりもみんなのこと考えてるよね」
「分かる!隊長っていうか、特攻隊長って感じ」
いつからか、私のあだ名は隊長から特攻隊長に変わっていた。
私はありもしないシチュエーションを夢想するようになった。
エイリアンやテロリストが学校に攻めてきて、私は1人身体を張って犠牲になるのだ。
創作物の中で、綺麗ごととしては良いかもしれない。
でも痛いのは嫌だし、私だって死にたくない。
普通に嫌だなーと思った。
そんなことを考えていたせいか、ある日エイリアンが学校に攻めてきて全校生徒の大半が喰われた。
私とクラスメートはバリケードを張り、教室に立て籠もった。残された武器は自爆スイッチ付きのダイナマイトだけだった。
「こういうのはやっぱり、くじ引きで……」
と、クラス委員長が言いかけたところで、何故か私を見た。
そしてクラスメート全員が、じっとりと縋るような目付きで私を見た。
普通に嫌だなーと思った。
2/17/2024, 8:15:33 AM