憂一

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『優しくしないで』

少年は少女の手を取ろうとした。
しかし、少女は少年の手を払い除けた。
「どうして私を助けようとするの?私はあなたたちを裏切った。」
「それは、君が僕たちを裏切らなければ生きられなかったからだろう?それに、君は僕らが気づくようにいくつかの手がかりを残してくれていた。これではもはや裏切りとも言えない。僕らはただ、仲間を助けた。それだけのことだ。」
少年は穏やかに言葉を返す。
「どうして、そこまであなたは優しいの。どう考えても、私に優しくする必要なんてないじゃない。自分の身かわいさに、人を悪魔に売り払うような私に。」
「誰だって、自分の命が一番大切でわがままなものだ。僕が特別優しいわけじゃない。ただ、助けられる人が目の前にいるから助けるだけだ。さあ、だから、また一緒に旅をしよう。」
少年は再び少女の手を取ろうとした。
今度は、少女はその手を受けいれた。

5/3/2024, 1:12:11 AM