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子が赤ちゃんだった日、アパートの窓から庭を眺めて、「風で葉っぱがそよそよーって揺れてるねえ、きれいだねえ」と話しかけた
その日、子は生まれて初めてしゃべった 「はっぱ」としゃべった

確かにいっしょに葉っぱを眺めていたのだ、わたしと子の視線の先はおなじあたりに注がれていたのだ
そうわかったとたん、あんまりにも嬉しくて、ふしぎで、まるごときれいな思い出になった
そうしてかわりに、うでの中にいる子に、「今すぐには通じなくても良い」とも、「きっと通じている」ともいえない、ふしぎな感覚で話しかけていた毎日のことは、遠ざかっていった

7/19/2024, 1:12:50 PM