あかり

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太陽の下で、麦わらの帽子をかぶり、白いワンピースを纏って、幸せそうに笑うおしとやかな少女がひまわり畑の中心で笑っている。
そんな絵画みたいな瞬間を人は割と共有してると思う。

でも、現実はそんなに美しくは見えない。
百歩譲っても、写真の中だけ。

いっそその理想を全く覆したらどうなるだろうと暇の中に考えた。

生まれた時から自分ことが好きで、周りの人も好きで彼女が欲しいとクラスで嘆くようなバカだけど、
ずっと幸せに生きてきた少年。

きっと被写体はコイツだな。

変わらないのは差し込む太陽だけ。

こんなに早く人生が終わるとは思っていなかったんだよと半笑いで言い訳をして撮影に入る。

野球部らしい坊主、それに黒い肌。
汗臭いユニホームを着て、黄ばんだ帽子を深くかぶる。幸せなんだけど死んじゃってるから、とりあえず落ち着いた表情で、菊畑の中心に寝転がる。
心の底からありがとうと大声で叫ぶ。

なぁんだ、意外と理想通りでなくても悪くないじゃん。死んだあとなのにどうして撮影があるのかは知らないけど。

一人一人違った人生を歩んでいて、それがみんなの共有する理想のようなものでなくても、太陽が照らしてくれる限り、そんなに悪いようには見えない。

理想ばかりにとらわれる人にアドバイスできるかも、俺って天才。

馬鹿だけど、野球部だけど、考え事するのが好き。
ナルシストで汗臭いけど、愛はある。
全然大丈夫。イケメンで爽やかという理想になれなくても。

11/25/2024, 11:39:46 AM