語り部シルヴァ

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『タイミング』

朝から急な雨に降られた。
授業に必要な教科書と弁当を忘れた。
そして夕方に...チンピラに絡まれた。

何かと運が悪い。こう...もっとタイミングが合えば...
なんて言ったってあとの祭り。
ボロボロになった体を起こして裏道から出る。
周囲の人間は俺を少し見て声をかけることなく
流れるように去っていく。
当然だ。みんな厄介事を避けたいのだから仕方ない。

痛む体にぎこちない歩き方になってしまう。
帰ったらまた親に心配かけちゃうなあ...

「ね、大丈夫?」
ヨタヨタと歩いていると後ろから声をかけられた。
振り返るとさっきのチンピラと似たような格好の人がいた。
「あぁ...さっきの人のお友達?
悪いけど今日はサンドバッグになれないよ。」

「あー、やっぱり?アイツらなら
俺がボコボコにしてやったよ。
明日からは平和に過ごせるよ。」

じゃーねー。お大事に。と足早に去っていった。
出来たらもっと早くに助けてに来ても良かったのに...
なんて一日運の無かった自分を
慰めながら帰路を再び目指した。

語り部シルヴァ

7/29/2025, 10:56:13 AM