question
「もし私に何してもいいって言ったら何がしたい?」
二人きりの喫煙室、電子タバコを離したあこさんの口から想像もつかなかった質問が出てきて驚いた。その魅力的すぎるもしも話に静かに鼓動が高鳴るが、変に動揺を見せるのも気持ちが悪いと思うので首を傾げてかわいく笑ってみせた。こういう時だけは年下の特権を使わせてもらう。
「なにそれ、急にどうしたの?」
「別に?なんて答えるかなーって。」
自分が聞いてきたくせに興味がないという風に前を向いてタバコを咥える彼女。キラキラしたネイルのパーツがついた細い指であまりにも無機質な電子タバコを持っているのがどこか可笑しく思えた。うーん、なんて答えよう。真面目に答えるべきか、いや、反応を見て面白がっているだけなら真面目に答えたら答えた分だけ恥ずかしい。話のうまい彼女のことだからみんなの前で面白おかしく話されてしまうだろう。あれ、楽しそうな話に見えて割と何を答えても自分にとって損しかないな。自分は吸わないのに少しでも一緒にいたいからと喫煙室についてくるけなげな後輩にこんな仕打ちなんてひどい。というか、自分があこさんに好意を持っているのが分かっててこんな質問をしてくるなんて本当にこの人はタチが悪い。まぁそんな小悪魔的な側面も含めて好きになってしまったから仕方ないけど。ただ、いつも振り回されてばかりでは格好がつかないから、せめて綺麗な彼女の顔を少しでも赤く染めれたらいいな、なんて思いながら口を開いた。
「うーん、そうだなー。じゃあ、あこさんが想像した答えの、もう2段階、踏み込んだとこまでしたい。」
彼女は想定外というように少し驚きを見せたが少し考えた後に笑って言った。
「んー?じゃあ、私が考えてたのは付き合ってほしいだから…結婚して離婚ってこと?えー、嫌なんだけど?」
「え、ねぇ、違う!待って!!」
やっぱり彼女には敵わない。かっこつけるのには失敗したが、笑いながら喫煙室を出ていく彼女の後を追いながらやっぱりこの関係性も好きだなと思った。
3/6/2025, 9:35:27 AM