しゅん

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「貴方との旅行はいつも晴れだったね」

そう言って彼女は、写真に映る僕を見ながら悲しそうに笑った。僕の姿は見えていないんだろうなあ。きっと見えない方がいいけれど。
マイクロバスの席で、窓の外を眺める横顔に一筋の涙を見た。流れる景色は青々として、夏の始まりを告げている。おとといまでの台風が嘘のような晴れの日。彼女の表情は晴れない。

君の笑顔が好きだった。その笑顔を作るのは、ずっと僕が良かった。
晴れた日も雨の日も、嵐の日だって、僕が君を笑顔にしたいよ。そう思ってるよ。

ずっと隣にいられなくてごめん。

今日が終わったら、笑ってね。

7/29/2023, 12:50:59 PM