名無し

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   岐路



人生で一番大きい岐路って何だったけ。

女の子なのに自分のこと僕っていうの変だよって言われて第一人称を私に変えた幼稚園の夏だっけ。

初めて学級代表を決めた時に立候補しても選ばれなくてもう立候補とか目立つことをするのをやめようと心に決めた小学3年生の春だっけ。

何となく人と話したくなくて会いたくなくて見られたくなくて学校を休みだした小学5年生の秋だっけ。

誰からも愛されてないって感じてただ単に愛してもらいたくて、頭を撫でてもらいたくて「愛してる」って誰でもいいから言ってほしいって思って親友だった女の子とおふざけ半分で付き合い始めた小学6年生の冬だっけ。

クラスの仲良くしてた男の子にLINEで好きだよって言われて好きって言ってくれるなら誰でもいいかって思って人生初めての浮気……というか二股をした中間テストが迫ってきてた中1の時だっけ。

中学校でも人と話すのとかに疲れて不登校気味になって成績が下がって結構気に入ってた美術部を辞めさせられて帰宅部になった自動販売機にあったかいコンポタージュとかが並びだした夏の暑さが残った中2のの秋だっけ。

小6の時から付き合ってた彼女が私と同じ人とかと付き合うことが苦手な人種だったってことを自白して、「心中しよ」って切り出してきた時に私に依存してる彼女が愚かで可哀想で可愛くて「安楽死ならいいよ」って言ってやんわり断った中2の春だっけ。

中間テストも迫ってるのに学校に全然行けてなくて学校に行ってない間、スマホいじってるだけで夜だって前眠れなかったのがすぐ眠れるようになってて前はやれなかった事がだんだんとやれるようになって本当に学校休んでもいいのかな、休めるぐらいちゃんと病んでるのかなって思って初めて自分の手首をカッターで切った中3の秋だっけ。

中1の時から付き合ってた男の子に家に呼ばれてそういう雰囲気になってものすごい嫌悪感を抱いて、私女の子が恋愛対象なんだって気づいた高1の冬だっけ。

小6から付き合ってた彼女が自殺で死んだって聞いて「心中しよ」とまでいうくらい私を心から依存してくれる愛してくれる人はもういないんだって思って私の〝女の子が恋愛対象〟っていう性癖を受け止めてくれる子がいなくなったんだなって思って辛くなった、高2の春だっけ。

その子の死から半年たっても自分を受け止めてくれる存在が見つからなくて夜遊びをしてみようか、と思って夜の街を歩いてみたけど怖くてそれっきり歩かなくなった高2の夏だっけ。

完全に病むこと、自殺することもできず、かと言って普通の人間らしく社会を楽しむ事ができない自分に嫌気がさして睡眠薬を大量に飲んで死のうとしたけどただただ苦しくて気持ち悪いだけだった高3の夏だっけ。




それとも……必死に自分を取り繕って好きでもない好きになれない男の人と付き合ってコンビニのバイトっていうかつてあった夢のかけらもない仕事についてる



今だっけ。


6/8/2024, 2:32:56 PM