ストック1

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「タイムマシーンが完成したぞ、助手くん!」

博士はついに狂ってしまったようだ
一昨日まで「タイムマシーンなど作ることは不可能なのだよ」なんて言ってたのに
きっと研究に没頭しすぎて頭をやられてしまったんだろう

「そうですか
では明日病院に行きましょう
大丈夫、博士ほどの人なら治療すればすぐ元通りです」

「ぶん殴るぞ助手くん
私が製法を手にし、昨日から徹夜して完成させたというのに、病気扱いとは」

なんてことだ
きっと博士はガラクタを作って、それをタイムマシーンだと思いこんでるんだ
可哀想に
僕がもっとしっかりしていればこんなことには……

「本当に蹴り飛ばすぞ助手くん」

「だって博士はタイムマシーンが不可能であることを証明したじゃないですか」

その時、僕は心底安心したのでよく覚えている
タイムマシーンは歴史改変とかの心配があったからだ

「確かに私は証明した
しかし、それは方法のひとつ
法則のひとつに過ぎないのだよ
別の法則を利用すれば可能であることがわかった
そしてタイムマシーンは完成したわけだ!」

そんなバカな
仮に実現したとして、一回徹夜しただけで完成するはずがない

「一日でそんなもの、開発できるんですか?」

「不可能に決まっているだろう
法則がわかっても、様々な手順、段階を踏んで、成功と失敗を繰り返し、長い時間をかけねばそんな高度なものは作れんよ」

何言ってるんだこの博士は

「でも、完成したんですよね?」

「完成した
しかし私は完成させただけで、ほとんど作っていない」

どういうことだ?

「君に紹介したい人がいる
未来から来た私です」

目の前に博士の面影のある、しかし博士より年齢を重ねたであろう女性が現れた

「なつかしい顔だな、助手くん
未来の君はもっと老け込んでいるというのに、ピチピチじゃないの!」

嘘だろう

「未来の私は長い時間をかけてタイムマシーンを完成させ、現在へやって来た
未来の技術ならタイムマシーンを簡単に作れるらしくてな
タイムマシーンを製造する機材も持ってきて、私にも作ってくれたわけだ」

理解が追いつかない
なんで過去へ行ってタイムマシーンを作ってあげちゃったんだ

「ただ、コアとなる機械は、持っていくと時間跳躍時にタイムマシーンの不具合を引き起こすから、持ってこられなかったのだ
だから現在の私に作り方を教え、完成させてもらったわけだな
若いから吸収が早くて助かった」

思い切りタイムパラドックスな気がするが大丈夫じゃないだろう
僕は頭が痛い

「これ、色々とマズいのでは?
歴史が変わってしまいますよ」

「問題ない
君たちの歴史は今を生きる君たちのものであるからして、私が介入したところで、それ込みで君たちの歴史になる
ちなみに、私の未来は何も変わらない
別の時間軸となるわけだ」

「だから助手くん、心配はいらない
私たちと一緒に、時間旅行を楽しもう!」

何をバカな
そんな説明をされても、介入すること自体が危険行為じゃないのか?
それに、行った先で何が起こるかわからないし
ここは僕が常識人枠として狂気の博士たちを阻止せねばなるまい

「わかりました、行きましょう!」

……誘惑には抗えなかった
ワクワクした自分に嘘は吐けないのだ
僕は二人の博士とともに嬉々としてタイムマシーンで旅立つのだった

1/22/2026, 11:42:32 AM